畑にトイレが必要な方に自作用便器を使った小屋作りを紹介します

畑にピッタリ、六角形のトイレ小屋
目次

畑にはどんなトイレが理想か、費用面、管理面から基準を考えました

畑にトイレを設置する場合、費用を安く抑えられるのは、使用の都度、レジャー用の着替えやトイレ用として売られているテントで、ダンボールトイレなどの非常用トイレを組み合わせて使用する方法です。しかし今回、厳しい自然の中での畑において長期に渡って、手間が要らず、快適に使用できるトイレについて考えます。
畑、庭にトイレを設置する場合、一番簡単な方法は仮設トイレです。しかし仮設トイレの場合、設置の初期費用の他に、し尿の処理費用が発生します。折角、トイレ用の小屋も設置するなら、道具なども収納できる広さの丈夫な小屋を作り、しかも手間いらずで快適なトイレです。

畑に仮設トイレを設置した場合、設置費、維持費用はどれぐらいかかる?

仮設トイレを導入される場合、レンタル料金や購入費などの費用がかかります。新品購入時の設置料金は、種類にもよりますがおおよそ30万円前後となります。ヤフーなどのオークションでも程度のいいものは10万円前後になります。
レンタルをする場合の設置料金は、水洗トイレ、簡易水洗トイレ、非水洗トイレによって大きく異なります。
相場では、
水洗式30,000~70,000円、簡易水洗式15,000~25,000円 、非水洗式10,000~20,000円が1ヶ月に掛かる費用です。
仮設トイレの耐用年数は長く、10年は繰り返し利用できます。一時利用であればレンタルでもいいですが、畑などで長く、使用される場合、購入した方が断然、お得です。おおよそ、30万から40万円程度で販売されています。

仮設トイレの場合、機種に関わらずし尿を回収してもらう必要があります。仮設トイレのし尿タンクから自分で回収し、畑で処理する手もありますが、尿と便が混ざったし尿の処理は衛生面でもしにくく、またタンクの取り出し口も小さく、場キューのホースでないと吸い取れません。やはり、し尿回収してもらうことになります。
し尿回収は市町村が窓口になっています。定額制と従量制の契約方法がありますが、一杯になれば、その都度依頼する従量制のほうがいいと思います。
市町村で金額は多少の違いはありますが、おおよそ100リットルで1千円、200リットルで2千円程度です。

仮設トイレ以外で畑にうってつけのトイレも建屋としては小さい

畑、トイレで検索すると、バイオ式トイレの記事がおおくあります。バイオトイレの各メーカーの広告を見ると、処理に電気が必要なもの、建屋と一緒なら100万円以上するものが多く見られます。
その中でも、目を引いたのは、ロンシールが販売している農地用トイレ「アグリレット」です。
外観はよくある仮設トイレですが、し尿の処理を埋め込んだタンク内で酵素を使って安全な状態にし畑の土壌に浸透させるトイレです。価格は40万程度です。費用面から、一度、検討してみる価値はあるかと思います。
しかし、外観は仮設トイレ(105センチ✕105センチ)で内部は狭まく、使い勝手はどうかと思います。
同じトイレ小屋を設置するなら、昔風の野小屋みたいなものがいいのではと思います。農作業に必要な道具も入れることもできます。その中に、し尿を自分で簡単に処理できるトイレにする方法です。野小屋なら自分で自作するのも法的には問題ないと思います。

畑に設置するトイレは、設置が簡単、丈夫で長持ち、メンテナンスが簡単な物置?

プレハブ物置と言えば、薄い鉄板の物置を思い浮かべますが、上質なものは断熱がされていているものもあります。有名なのはイナバ(例えば130✕250センチものが36万円)、ヨドコウ(180✕250センチものが32万円)です。

横130センチ長さ250センチのイナバ物置です。断熱処理されていてトイレにも使えます。

イナバ物置の広告を転用記載しました。

横180センチ長さ250センチのヨドコウ物置です。断熱処理されていてトイレにも使えます。

ヨドコウ物置の広告を転用記載しました。

搬入費や設置費用については別途、必要になりますが、野小屋としては十分な大きさで、トイレスペースも十分作れるひろさです。しかしトイレ用で作られた建屋ではないので、どのようなトイレにして、どう改築するかの問題は残ります。
そして、もう少し低コストにおさえるなら、ホームセンターや材木店で資材を買ってDIYで好みの大きさの小屋を建てることになります。適当に作ると木材の場合、土台がシロアリの餌食になったり、雨水で部材が腐ったりします。

畑に六角型のトイレ小屋を建てませんか、自作できます

トイレの小屋を六角形にするメリットは、
1、風に強い(どの面も均一な作りなので、どの方向から風が吹いても同じ)
2、大きな柱が要らない(モノコック(一体構造)的な構造で丈夫)
3、プレハブ仕様( 現地ではパーツを組み立てるだけで簡単に仕上がる)
4、デザイン(六角形の小屋はデザイン的におしゃれで、あまり建てられていない)
5、低コストで建てられる(合板で構成され、屋根もFRP仕様なので丈夫で)

建物構造及び部材

建物の構成は、土台、6面の壁、2分割の屋根になります。
1、土台は、90ミリ角の大引き、45センチ角のネダで六角形になるように組む、防腐処理と地面に固定する。
2、6面の壁は、6本の支柱を土台の角に設置し、側面を90✕180センチの合板で囲む。
3、屋根は、合板にFRPでライニング処理し、ゲルコートを塗布、ウレタン塗装する。

部材は、六角形部分の土台、床板、6本の支柱、6面の壁(ドアー面1枚、窓面1枚、壁面4枚)、屋根2分割

現地組立

現地組立の手順をご紹介します。
どのようなコンポストトイレにするかで土台が変わります。ご紹介例は、おがくず投下式トイレの仕様です。

土台を作る際は、防腐処理と地面との固定を念入りにします。

六角形土台部分を杭で地面に固定する

おがくず投下式のトイレを設ける場合は、土台にコンテナを出し入れする入り口を設けます。

コンポストが貯まったコンテナを取り出す入り口

土台の上に六角の角部分に、支柱を取り付けていきます。

支柱を六角形の過度に設置する

支柱を建てる際は、仮止めしながら建てていきます。

順次、仮固定していく

次に合版で壁を作っていきます。

入り口面、窓面以外の壁面を取り付けていく

壁と土台もビス固定します。

壁面と土台面をビスで固定する

屋根は2分割にしておき、壁の上に載せます。

2分割の屋根を側面に載せる

壁の上で屋根を組み立て、屋根同士を固定し、壁面ともビス固定します。

両端をビス固定し屋根とか壁側面を固定する

現地で組み立てた六角形のトイレ小屋です。おがくず投下式の場合、土台の高さが30センチ程度必要になります。

外壁などの仕上げはお好みで!

1 現場では脚立とインパクトドライバーのみで組み立てできます。2 土台を設置する際、ハウスが飛ばないよう杭で固定します。
3 土台の防腐処理もします。
4 床面は合板を2重に貼ったほうが丈夫です。
5 できれば床面に砂を入れた塗料で滑り止め塗装します。
6 外壁はガルマニューム板等を貼ったほうが丈夫で安心です。
7 排気装置を付ける場合、ソーラパネルとカーバッテリーと使いま す。余剰分を室内の照明にも使えます。
※写真はコンポスト(おがくず)投下式トイレの仕様です。投下式にしない場合、床面は地面と同じ程度に低くできます。

畑でトイレを作った場合、し尿が簡単に処理できるトイレは?

どのようなトイレにするかでし尿の処理が全然違ってきます。
くみ取り式トイレにするとします。その場合、畑でし尿を処理するとなると、「し尿を畑等に使用してはならない」となっている廃棄物処理法第 17 条違反になります。 しかし、施行規則第 13 条では、し尿を十分に覆土して使用する場合は、処理をみとめています。十分となっていますので、かなり穴を掘る必要がありそうです。そうなると、仮設トイレのように、市町村にし尿回収を依頼することになります。そして、くみ取り式トイレは、大便と小便が混ざると悪臭が発生し、ハエによるうじの問題があります。

畑など電気がなくても使えるバイオトイレについて、コンポストトイレとも言います


し尿を自分で処理する方法で一番合理的なのは、し尿を微生物のチカラで炭酸ガスと水に分解するバイオトイレです。
しかし、し尿を一緒に処理しようとすると電気による強制乾燥が必要になります。畑のような電源が取れない場所では使用できませんし、大掛かりな設備であることから価格も安いもので、100万円以上すると言われています。
その中でも、コンポストトイレは大掛かりな機材、乾燥のための電気を用いることなく、微生物で分解処理するトイレです。
生ゴミ処理機を改良して、ご自分でコンポストトイレを自作される方も多くおられます。
バイオトイレとして販売されている機種は多くありますが、コンポストトイレとして販売されている機種は少なく、価格帯も10万円から20万円程度のものが多いようです。やはり大掛かりな機材がない分、安価になります。
そして、1日の処理能力も数人程度のものが中心になっています。
しかし、弊社が試作しました、おがくず投下式トイレは1日に多くの人が使えるコンポストトイレです。
仕組みは、大小分離の便器で、大便だけを便器下に設けたコンテナに落とし、その上におがくずを掛けるだけのトイレです。
大便はおがくずの中で大便自体に付いている微生物で分解していきます。コンテナを大きくすれば一日での使用回数も50回程度は使えますし、替わりのコンテナがあれば無制限に使用できます。

おがくず投下式トイレです。用を足した後、おがくずをその上に振りかけていきます。連続使用が可能です。
格納ボックス天板中央にDIY便器を設置し、両脇にはおがくずを投下する投入口を設けます
便器の下におがくずを貯めるコンテナを設置します。
格納ボックス内のコンテナ
長さ75センチ、横40センチ、深さ30センチのコンテナです。コンテナの大きさで使用回数が決まります。
おがくずが入ったコンテナ

写真のコンテナの大きさは、長さ75、横40、深さ30センチです。満タンなら90リットル入ります。

使い方は、用を足した後、ロープを引き下ろし、便が入ったコンテナを引き寄せおがくずを振りかけます。
次の方も、用を足した後、上がっている方のロープを引き下ろし、コンテナを引き寄せ、おがくずをふりかけます。
コンテナは右、左に行き来することで、盛り上がったコンポスト基材は崩れ、均一化します。
コンテナの容量にもよりますが、おおよそ50回は連続使用できます。

小屋に設置する、おがくずを投下するトイレと撹拌する少人数用のコンポストトイレをご紹介します

小屋が完成すればコンポストトイレを設置しますが、コンポストトイレには、おがくずなどのコンポストを用を足した上に振りかけ処理する方法と撹拌槽の中で処理するコンポストトイレを選ぶことができます。コンポスト投下式のトイレの場合、大小を分離する便器が重要な役割になります。

おがくず投下式トイレに使用する大小分離のDIY便器をご紹介します

大小分離の便器です。中央の開口部から便がコンテナに落ちます。尿は前側の穴から専用タンクに貯まります。
大小分離の便器で便と尿を分けます

左手側のハンドルレバーを引き上げると底の扉が開きます。

便器底には開閉扉が付いています。左手側のレバーで操作します。

便器を外すときは、黒色の取手と便器フロント部の下部を持って引き上げます。

便器前側は尿が溜まりやすいようボウル上になっていて、先端の排出口からデます。
ボウルの先端が尿の出口です

取り外す場合、手を添えるところはフロント部下部です

便器を固定する役割と、便器からの尿を受ける尿受け皿を設置する役割があります。
便器ホルダー

便器を固定する便器ホルダーです。前方部分に便器からの尿を受ける受け皿です。

尿を受ける受け皿には横方向に尿配管をつなぐ継ぎ手があります。

便器ホルダーにある尿受け皿

便器裏面の状態です。開閉扉の様子がわかります。

便器をホルダーにセットします。

便器を投下式トイレにセットします。
投下式トイレに必要なおがくずをバケツに準備します。おがくずをすくう杓も付けます。

DIY便器の内容は、便器と普通便座、便器を固定し便器からの尿を受ける便器ホルダーの3点です。合同会社コンポス技研では、DIY便器として販売しております。

撹拌槽で処理するタイプとして、3人用から6人用の3機種をご紹介します

コンポストトイレは撹拌槽で便だけを処理し、尿はタンクなどに貯めて後で処理するトイレです。撹拌は手動で行います。

3,4人用のコンポストトイレです。横、45センチ奥行き65センチ、便座までの高さ46センチです。15リットル程度のコンポスト基材を入れて使用します。

3,4人用のコンポストトイレです


撹拌槽に、15リットル程度のコンポスト基材を入れて使います。

4,5人用のコンポストトイレです。大きさは、30型と同じ横45,奥行き65,便座までの高さ46センチです。撹拌槽には20リットル程度のコンポスト基材を入れます。

4,5人用のコンポストトイレです


撹拌槽には、20リットル程度のコンポスト基材を入れて使用します。

5,6人用のコンポストトイレです。
撹拌槽には22リットル程度のコンポスト基材を入れて使用します。

5,6人用のコンポストトイレです


撹拌槽には、コンポスト基材を24リットル程度入れて使用します。

コンポストトイレで発生したコンポストと尿の処理方法は

コンポストトイレの場合、便の処理は比較的簡単です。使用人数が多くなれば、尿の処理の方が手間がかかるかもしれません。その処理方法をご紹介します。

便は条件が整えば、コンポスト基材で処理できます

コンポスト化の主役は好気性微生物です。そしてコンポスト化をうまく進めるためには、好気性微生物の活性を促す適正な環境条件を整えることが必要です。その条件は、①栄養源、②水分、③空気、④微生物、⑤温度、⑥堆肥化期間です。
1、栄養源大便は分解しやすい有機物です。これが堆肥化の微生物の栄養源となります。
2、水分便の水分割合は約 80 %で、堆肥化の開始時は、通気性を良くする必要があります。
3、空気堆肥中の微生物に空気を送ることが重要です。いわゆる撹拌作業です。
4、微生物便1g中には、1,000 万~1億個の多種類の微生物が生きています。本来、食物などが発酵したり腐敗したりするには 100 万個の微生物がいれば十分なので微生物を外から添加する必要はありません。好気性微生物が活動しやすい条件を整えることが重要です。
5、温度微生物の活性には温度が重要です。夏場はよく分解しますが、気温が低下する冬場は分解は進みにくくなります。
6、堆肥化期間堆肥として使用する場合、すぐに施肥するのは植物にはよくありません。堆肥化期間を概ね3ヶ月程度、木質物との混合物の場合、6ヶ月以上と言われています。

段ボール箱に入れて保存してから畑に撒き堆肥として使う

おがくずをコンポスト基材にした場合、おがくずは木質であることから6ヶ月はダンボール箱等で保存し、堆肥化を進めてからの施肥になります。ピートモスや腐葉土の場合、3ヶ月以上、保管してからの施肥になります。

大きなプランター(コンポスター)などに入れて、草、生ゴミ等と一緒に堆肥化する

ダンボール以外ではコンポスターや大きめのプランターに枯れ草、生ゴミ等と一緒に堆肥化を進めるのもいいかと思います。その場合、尿も水代わりに、コンポストに振りかけ微生物で処理すると一石二鳥です。

直径160センチ、高さ45センチのプランターです。堆肥作りにも使えます。
市販のコンポスターです。

ボカシ肥料を作る際、一緒に混ぜて二次発酵させ、雑菌を死滅させて使用する

畑に多くの堆肥を入れる場合、もみ殻を主にしたボカシ肥料を作ることになると思います。わら、落ち葉、米ぬかなどと一緒にトイレから出たコンポストも混ぜてボカシ肥料を作ると、発酵熱で尿や大便の雑菌は死滅し、安全に施肥できます。

もみ殻を畑に利用するときは、ボカシ肥料として使えます。
米ぬか、わら、落ち葉などと一緒にトイレのコンポストも入れて二次発酵させます。

まとめ

畑に野小屋になるようなトイレ小屋の自作とコンポストトイレの導入をオススメしました。
コンポストトイレは電気、水がなくても使えるトイレです。そしてし尿も自分で簡単に処理できます。
今回、六角形の小屋を一番、簡単な一辺が90センチの大きさで製作しましたが、一辺を120、150、180センチとすることも可能です。自作される場合、製作のお手伝いもさせていただきますのでお気軽にお問い合わせ下さい。

合同会社コンポス技研 ☎0740-36-1295

メールでのお問い合わせの場合、下記のボタンからお願いします。


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